5歳児たいよう組

今週の1場面 たいよう組(5歳児)

6月7日(金) 

先週、30㎝程の山を作ったA児が、「滑り台みたいに滑れそう」と呟いたことがきっかけで、砂場周辺で滑り台作りが始まりました。

翌日も砂場に集まると、どうやら砂を固めて、滑り台を作ろうとしている子どもたち。園庭の滑り台をチラッと見ながら、「もっと高いね…」「じゃぁエベレスト作る?」「エベレストって何?」「世界で一番高い山だよ」「あ~聞いたことある」「富士山くらい高いんだよね」「この幼稚園くらい高くしようよ」などと、聞いたことがある言葉とそれぞれのイメージや知識が混ざり合い、”高い山”を目標に作り始めます。

自分が立っている近くの砂を掘り進めていくと、B児が「固くなってきた~」と皆に知らせます。その言葉を聞いて、固くないところを探して、砂場の外側に目を向けたり、ドリルのように削って柔らかくして掘りやすくしようとしたりします。友達が話をしていることをよ~く聞いていますね。

どんどん砂山が高くなるにつれて、山の頂上から砂がサーっと下に落ちる様子から、「そうだ、(前の時のように)水で固くするね」と、状況を見て水をかけたり、合いの手のようにスコップでペシペシ叩いたりして、それぞれが楽しいと思う役割で一緒に作っていきます。100㎝近くまで高くなると、こあら組の子を呼んで山の隣に並んでもらいます。「やっぱりこあらさんよりは大きくなってる」「僕の顎まである」「あとちょっとで、たいようよりも大きくなるね」などと、自分たちで大きな山にできた喜びを分かち合います。

いよいよ滑り台に挑戦かな?と思いきや、「もう1個作ろう」「いいねぇ」「先生は手伝わないでよ」と、山を作ることに夢中に(笑)トンネルだって作っちゃいます。その時々に思い付いたこと、楽しそうと感じたことを行動に移す中で、友達とやり遂げる充実感を味わっていますね。寄り道こそ最高に楽しいのです。

そして、高い山で滑べってみることに。すると、「滑れる!ベタベタになる!でも楽しい!!」でした。帰りの会に、この遊びの話を写真を見ながら皆ですると、「やってみたかった~」「もっと(山を)カチカチにしたら?」「段ボールで滑れるんじゃない?」「これ(雨樋)ならツルツルしてるから滑れそうじゃない?」など、今までの経験で知っていることや見て思い付いたことを伝えたりして、山もそのまま残し翌週に続きで遊ぶことになりました。

 

週をまたぎましたが、砂場を見たら、「この前の続きだ」と思い出して、滑り台作りが再開されます。雨樋に乗るのかと思っていたら、この日のイメージは手すり?聞いてみると、「だってかっこいいから」でした。見た目も大事ですよね(笑)

それぞれがマイ段ボールを持参して、滑り台にのせます。滑ってみると、思ったよりスピードが出ず、「うん?」という表情を浮かべます。すると、子どもたちは考えます。

足や手を使って、スピードが出るように、勢いをつけたり

立って滑ったり

段ボールの上に段ボールを敷いたりと、それぞれが滑るための方法を考え試していきます。友達のやり方を見て、取り入れたり、さらに考えたりして繰り返し遊んでいくと、段ボールがビリビリに…「なんで???」

段ボールのちぎれたところを触ると、湿っていました。「砂が濡れてるからだ!」と原因に気付きますが、「今日は水をかけてないのに…」と不思議そうにしていました。そんな時は、段ボールを二重折りにしたり、二枚重ねにしたりして、染みないようにと、工夫するなど、子どもたちの柔軟な考えと勢いに目からうろこです。

その日の帰りの会で、段ボールが濡れてちぎれてしまって困ったことを共有すると、「濡れても壊れない物にすればよいのでは?」という新たな意見が出ました。「でも、濡れても壊れない物って幼稚園にある?」と投げかけると、廃材コーナーのプラ容器を指差ししたり、「豆腐の入れ物」「ペットボトル」「(ブルー)シート」など、どんどん出てきます。そして翌日、「試してみよう」ということになりました。

前日の段ボールの経験から、「大きくないと滑れない」と、大きな素材を探したり、二つの素材を合体させたり、プラスチックの平面をいくつも切って繋げたりした物を持ち寄って、どれが壊れずによく滑るか、実験が始まります。一人ずつ、自分で考えたり、見つけたり、作ったりした物で試す様子を皆で見守ったり、できるように一緒に準備したりします。

実際の結果は、段ボールの方がスピードが速く滑れていたように教師からは感じましたが、子どもたちは、「こっちは滑れたよ」「(滑る時に)落ちてくるから押さえてて」「痛いけど、滑れるな~」などなど、どうなったか、どうしてほしいかを伝え合い、予想したことを試し、結果をそれぞれ受け止めながら遊んでいました。

しばらくして、「水をかけたほうが滑るんじゃない?」と新たな考えが生まれます。もともとウォータスライダーのイメージが合ったのかもしれませんし、水で壊れない素材だから、逆に水の力を利用してみようと思えたのかもしれません。そして、水をかけると良く滑べるのです。友達にかけてもらったり、自分で水をかけながら滑ったりして、水の気持ちよさも合わさり気分は最高潮に。

遊びの中で、不思議に感じたり、どうしたら~できるかと考えたり、皆で目的を共有したり、思い付きを試したりしながら遊ぶことの面白さを、これからも積み重ねていけたらと思っています。