2年生 学校行事

資料のもつ力のすごさ

今日は、2年生の道徳の学習で三浦綾子さんの「塩狩峠(新潮文庫)」を取り上げました。今日のテーマは自他の命の尊重(生命の探究)で、2年生の子どもたちと尊い命について考えを深めたいと思い、難しい内容(小説)ですが、思い切って取り上げてみました。

難しい内容を資料として取り上げたのは、「資料のもつ力を借りて深く考え合いたい」と思ったのが一番の理由です。実際にあった話であるというリアリティだけではなく、その文章のもつ迫力、情景描写の細かさなど、いろいろですが、何よりも「自分は何を大切にするか」「自他の命というものについて深く考えることができる」という点で子どもたちにとって意味ある・価値ある資料だと思ったからです。

タブレット端末を使って、塩狩峠の場所や現在の様子、話の中に出てくる機関車などについて調べてから、その時の状況などをみんなで確認しました。

それからゆっくりと機関車の客車が連結を離れて暴走を始めるところから読み始めました。

私が読んだ部分は文庫本の3ページ程度ですが、読み始める前から子どもたちの姿勢が違います。

背筋がピンと伸びて、話を聞き入ろうとする姿勢で話の世界に入ってきました。いつもは他事をする姿も見られますが、今日は全く見られません。子どもたちが一言一句聞き漏らさまいという姿勢で物語に入ってきます。読み終えた後は、しーんとした静寂の時間が続きました。物語の世界を、その後のことを、今聞いて考えたことを一人一人が心の中でまとめ整理していたように思います。

「なぜ、まさおさんは自分の命を投げうったのだろうか(子どもたちは犠牲という言葉を使いました)」

「鬼滅の刃(無限列車編)の煉獄さんと同じ気持ちだったと思います。煉獄さんも自分よりも他の人のことを考えて(鬼と)戦ったと思います。」

子どもたちは資料の世界と自分の回りの世界、自分の世界とのつながりを求め始め、自分が考えたことや思ったこととつなぎながら考えを深め始めていきました。自分と資料、自分の経験と資料などとの対話が始まりました。

「お客さんの命を大切に思った。赤ん坊や小さい子など、これからの人や未来を考えたのだと思う」

自分と他の人、自分の命と他の人の命、自分の未来と他の人の未来の点から、まさおさんが犠牲にした(命をかけた)ことについて、まさおさんが大切にしようとした考え方に迫っていきました。子どもたちは、自他の命の大切さとは、命を天秤にかけることはできるのか(できない)という点からも、時にはつぶやいたり、時には唸ったりしながら考え、自分との対話を深めていきました。

「(主人公のまさおさんは)自分も結婚式の前だけど、それでも自分の未来よりも他の人の未来を思い浮かべたんじゃないか」

自分の幸せや自分の家族、自分と他の人のつながりなど、自分がつながるもの、自分を見守る家族や親せきのことなど、どんどんと自分の命や未来が自分だけのものではないことに拓かれつつ、どの命にも同様なつながり、素晴らしい未来があること(あったこと)に気がついていきました。そして「まさおさんが本当に大切にしようとしていたものはなにか」をみんなで考えました。

この話し合いに答えはありませんし、自分の命をかけて他の命を守るということがよりよいとも言えません。ただ、自他という点から自分の存在を見つめ直す機会、自分や他人の尊い命とそれを守ることについて考えるきっかけにはなったと思います。難しい話でも、子どもたちは自分の身近な話、自分にあったことに引き寄せて考えることができます。すばらしい力をもっています。子どもたちのもつ力に改めて感動しました。

今日は、2年生の子どもたちが一生懸命に考えたり、自分が感じたり思ったりしたことを発表してくれました。思ったことや感じたことを伝えることが苦手な子もさかんに手をあげたり、つぶやいたりしてくれました。それほど、この資料(題材)のもつ力、迫力はすごく、子どもたちの心を揺り動かし、子どもたちの心を拓き、話さずにはいられなくさせるものを持っているのだと改めて感じました。

ここ最近の道徳の時間は私が担当していますが、なかなか子どもたちを話の世界や今日考え合いたい価値観の入口に立たせることができず、悩んでいました。しかし、やはり子どもたちは力を秘めており、力のある資料と出会った時に、その秘めたる力を発揮するのだと思いました。資料のもつ力、子どもの力、そして教師の力…この3つの力が紡ぎ合う中で、子どもたちの心に残る学習が生まれてくるものだと思います。今日の学習がそんな学習になっていたらいいな!、そしてこれから成長していく中で、子どもたちが改めてこの本を手に取って、自他の命や未来について考えを深めていってくれるといいな!と思います。

「今日、先生が本を読んでくれているときに、思わず涙が出ました」と言ってくれる子がいました。その涙の中にあるものは何か?これからの長い輝かしい人生の中で、きっとその子は明らかにしてくれると思います。

今日の給食のメニューは、コッペパン、ホウレンソウのクリームスープ、手羽元の照り煮、コーンキャベツ、デザート、牛乳でした。今日は、きっとクリスマスメニューで、チキンとデザートが付いたのだと思いますが、豪華でうれしかったです。チキンは骨付きで、「かぶりつき、しゃぶりつく」ことのできる最高の逸品でした。また、なんとデザートは、クリスマスケーキで、チョコレート風味の生地に生クリームの入った最高のデザートとなりました。

今日は豪華なことに、なんとスプーン付きで、クリスマスケーキを箸で食べる必要がなく、小さなスプーンで少しずつ味わいながら食べることができました。学校給食会の皆様の配慮に感謝です。

※ケーキってなにかこう少しずつ少しずつ、スプーンで削るようにして食べたくなりません?一気に食べるのが惜しいからなのですが、私は昔から少しずつ食べてしまうのです。けれども、これは私だけではないと思うのですが、みなさんはどうですか?