天文

天文スタッフ日記

【長寿の星、カノープス】

冬の夜空に、見ることができたら、長生きできる(かもしれない)と言われている星があるのをご存知でしょうか。その星は「カノープス」といいます。星座を形づくる星々の中では2番目に明るい星(マイナス0.7等級)です。1番明るい星はシリウス(マイナス1.5等級)で、街中でも簡単に見つけられます。しかしカノープスは明るい星にもかかわらず見つけるのは至難の業です。なぜなら、北緯37.9度以北では地平線上に昇らず、北緯35度の岐阜市でも、一番高く昇ったときでも、高度が2度程度、更に大気による減光で実際より暗く見えるためです。なかなかお目にかかれないので、昔中国では幸運の象徴として、「南極老人星」と呼ばれ、見ることができたら健康長寿でいられると伝えられていました。

カノープスは赤みを帯びて、ベテルギウスに近い色をしていますが、これは高度が低いために、大気の影響で赤っぽく見えているだけです。カノープス本来の色はシリウスやプロキオンのように白っぽく、高度が高くなる南の地域では、明るい白い星として見えます。

カノープスの見頃は2月下旬頃まで続きます。長寿を願い、南の空が開けた場所でカノープス探しにチャレンジしてはいかがでしょうか。

岐阜市科学館 天文スタッフ N.S

カノープスと冬の大三角(ベテルギウス、シリウス、プロキオン)

2023年12月31日午後11時45分頃、熊野市(北緯33度)の海岸にて撮影。カノープスは減光で暗くなるとはいっても1等星なので、他の星よりも目立つ。「シリウスのずっと下の方に目を向けると見つかる明るめの星」と念頭に置いて、空を見ると見つけやすい。

岐阜市でカノープスが見える時間
1月前半 午後11時頃
1月後半 午後10時頃
2月前半 午後9時頃
2月後半 午後8時頃