天文

天文スタッフ日記

【柴金山・アトラス彗星】

 

昨年の2023年1月に発見された柴金山・アトラス彗星が、今月に見ごろを迎えました。

柴金山・アトラス彗星は発見当初はかなりの明るさの彗星になるといわれていましたが、その後の活動が停滞したため、どのような姿を見せてくれるのか予測がつきませんでした。ところが、思ったよりもすごい大彗星になりました。

この機会を逃すわけにはいかないということで、10月20日に薄墨桜で有名な本巣市の根尾に行ってきました。低空に薄雲がありながらも、なんと肉眼ではっきりと見ることができました。長い尾もばっちり確認できます。あの姿を目の当たりにすると「ほうき星」というネーミングにも納得です。

思わずスマートフォンでおもむろに写真を撮ってみたら、意外にもきちんと写っていました(左下)。手ぶれがひどかったのですが、それなりに補正をかけてくれるので優秀です。

そして、プロ級の腕前の人が、きちんとした機材で適切に撮影したものが右下の写真です。やっぱり違いますね。大変見事な姿です。どこまで続くのかわからないくらい長い尾、そして核をとりまくコマも存在感があります。また進行方向にぼんやり尾が出ているのも分かります。アンチテイルと呼ばれ、太陽と地球と彗星の位置関係によりダストテイルが太陽の方向に伸びたように見える現象です。

昔の人々は彗星の出現は不吉なことが起きる前兆ととらえることもあったようですが、初めて肉眼で彗星を見た私にとっては幸福を運んでくれる星のように見えました。

 

岐阜市科学館 天文スタッフ M.Y.

 

    

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