「エベレストを作るぞ!」 ~いちょう組みんなで作らな無理や!~
砂場で山作りが始まりました。「僕は、金華山作る!」とAさんが自分のイメージを声に出したとき、隣で作り始めたBさんの山は、Aさんの山より少し高かったのです。すると、Bさんは、「じゃあ、こっちは、百々ヶ峰だね。」と言いました。
そのまた隣に、「僕も。」、「私も。」と加わってきた仲間で山作りが始まっていました。1学期に大きな山を作り、「富士山だ!」と遊んでいたことを思い出した子供たちは、「エベレストを作るぞ!」と、世界一を目指します。
運動会(オリンピック加幼2021)を通して、世界へと興味を向けた子供たちは、地図を見たり教師が出すクイズの答えを調べたりして、世界一高い山の名前を知りました。また、10月末の遠足で登る「金華山」の話題から、自分たちが住む岐阜市で一番高い山は、金華山ではなく、その近くの「百々ヶ峰」であることも知りました。
私が、「エベレストかぁ…、百々ヶ峰20個分だね!」と言うと、「えー!!」と驚いた子供たち。まずは、「砂場の屋根(ひさし)まで!」と、みんなが分かりやすい目標を立て、ひたすら砂を盛ります。
翌日。山は自分の肩の高さを超え、頂上に砂をかけるのが難しくなりました。そこで、物を直したり作ったりするのが上手な園務員の先生に相談しました。「台になる物を埋めて階段にしたらどうかな?」自分たちでは思いつかないようなヒントをもらいました。
斜面に台を置く難しさを体験しながら、何とか階段を設置。バケツいっぱいに入れた砂を2人で抱えて階段を上ったり、その階段を支える仲間がいたり…。これまでの生活や遊び、運動会(オリンピック)を通して、力を合わせるよさを経験してきたからこその姿です。
山の向こうに立っている友達が見えないくらい高くなりました。それでも砂場の屋根まで届かないことから、「いちょう組みんなで作らな無理や。呼んでくる!」と自分たちで仲間を呼びに行く姿がありました。どこかの場面で、学級のみんなが関わっている。そんな遊びになりました。
3日目。初めのように砂を盛ったらその分だけ山が高くなるわけではないと感じながらも、「あきらめない!」という声も聞かれました。
「エベレストは、ネパールと中国の間にあるんだよ。」Bさんが教えてくれました。「そういえば、Cさんがネパールの旗を描いていたよね。」と思い出し、頂上にCさんの旗を立てました。
週末を挟み、遊びはここで一旦の区切りを迎えました。「エベレストに登山だ!」と、自分たちで遊びの終わりを決めました。「あきらめない!」と言っていた思いは、必ずこれ以降の遊びの中で形を変え、姿となってつながっていくと思います。